映画
モーリス・センダック 『みんなのしらないセンダック』

これは、1本の映画ではなく、短いフィルムを3本集めたものです。
一つは、スパイク・ジョーンズ監督の短編『アイム・ヒア』、
次は、センダックさんの子供時代のエピソードをコミカルに再現した『モーリス 万博に行く』
最後に、スパイク・ジョーンズ監督と映像ディレクターのランス・バングズがモーリス・センダックさんをインタビューするドキュメンタリー映像『みんなのしらないセンダック』でした。
スパイク・ジョーンズは、2009年に制作された映画 『Where The Wild Things Are(かいじゅうたちのいるところ)』の映画監督です。
センダックさんは、長年、絵本 『かいじゅうたちのいるところ』の映画化を拒否していましたが、初めて許可を出したのが、スパイク・ジョーンズなのだそうです。

私達が楽しみにしていたのは、もちろん、『みんなのしらないセンダック』。
原題は、『TELL THEM ANYTHING YOU WANT』
※ アメリカのケーブルテレビのネットワーク放送局 HBOのマークが表示されたので、
もしかするとケーブルテレビで放送されたのかもしれません。
モーリス・センダックさんと言えば、今でもアメリカ絵本界の巨匠です。
私はアメリカ滞在時、たくさんの書店を訪ねてきましたが、
センダックさんのサイン本がショーケースに入っているのを何度も見ました。
そんな、センダックさんほどの人でも、色々と悩みがある・・・
家族との葛藤、
作品を批判された時の苦悩、
自身のセクシュアリティに関する事、
(パートナーを亡くしてから強く意識するようになったのかもしれない)
「死」への考え。
80歳を超えたセンダックさんの、
そんな生の声を、本人の映像と共に聞けたのは嬉しかったです。
ジョークを織り交ぜる楽しい語り口。
時々、本当なのか嘘なのかわからなくなるのですが、
同じ意味合いの事を、違うシーンでも語る事があり、
(監督の、強調する編集なのかもしれないのですが)
その時、「これは、きっと本当の言葉なのだ」と感じました。
インタビューは、ほとんど自宅(アトリエ?)で行われていたのですが、
部屋のあちこちに気になる物が見え隠れしていました。
ディズニーらしきフィギュアや、
オバマ大統領(と、思われる)パネルなど。
それも含めて「これがセンダックさんなんだろうな~」と思って見ていました。
センダックさんが最後の方で話していた、こんな感じの言葉が印象に残りました。
「私が沢山の絵本を出版出来たのは、絵が上手かったからでも、ストーリーが書けるからでもない。
私が正直であったからだ。」
センダックさんの事が、もっと好きになった気がします。

今回、うかがったのは、神戸の元町映画館です。


3月10日~3月23日まで上映中
上映時間は少し遅い19時過ぎからです。
元町映画館は元町商店街を西へまっすぐ。
海文堂さんを過ぎて、信号を渡ったらすぐです。

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