本
アリキ『ああ神さま、わたしノリスだったらよかった』
アリキの絵本作品『ああ神さま、わたしノリスだったらよかった』をご紹介します。

文:ポーリー・グリーンバーグ
絵:アリキ
訳:日向佑子
BL出版 ISBN 978-4-7764-0618-1 C8798
丁度、絵本講習会を行ったので、絵本を研究されている先生や、読み聞かせをされている会の方などにも、読んだ感想を伺いました。
編集をされていた担当の方とは、この本の翻訳本を出版するにあたり、出版したい理由なども伺っていたのですが、今、世界でも実在する「児童労働」についての問題などをテーマにした作品という事も、出版したい理由の1つとして挙げていました。
絵本を数多くご覧になられている先生からは、「イラストは上手。しかし、暑い中で、綿花を摘んでいるが、暑さが伝わり難く、ページ数の関係か?昼のシーンから夜のシーンに移ってしまい、間にある夕方が省かれてしまっているのが残念。
収穫した綿花のシーンが無いので、大変さが伝わり難い」という感想をうかがいました。
読み聞かせを行っている方からは、「ストーリー的には良い作品と思われる。
タイトルに「神さま」が入っていても、宗教上の関係もあり、日本の子供達には、実感が無い。
最後にお父さんから飴を貰い、棒だけ咥えて、飴は残しておく、というシーンも、今の子供達には、なぜ、そうしたのか、わかり難いかも?」という感想をうかがいました。
私自信としては、この作品のオリジナルが、1968年アメリカで出版されている事から、当時、アメリカで、問題となった「公民権運動」の影響を感じ、エズラ・ジャック・キーツなどと同様に、絵本の世界にも、社会的な影響があったのではないかと思いました。
この作品を出版した1968年当時の意図は、そうであったのではないか?と思いますが、この絵本には、他にも、働いて物を得る事の大変さや、現在でも、世界中にある格差の問題、そして、昔よりも豊かになった日本人が、行わなくなった労働や、海外の安い人件費を使って作られる物など、便利になり、安い製品を手にする事が、当然のようになった私たちにも、何か考えさせられる部分があるような気がします。
人それぞれの立場から、この作品に対しての意見は、違って来るのは当然ですが、自分の事だけでは無く、周りの人や、他の国の人達の事も考える事をテーマに置くと言った点では、この作品が日本で出版された意味合いはあるのではないかと感じました。
興味がある方は、是非、一度手にとって読んで見て頂きたいです。
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