昔からお世話になっている摂津本山駅近くにある児童書専門店
ひつじ書房 さん。
先日、店主の平松さんから、閉店の意向を聞きました。
最終日となった12月3日。
お店では最後の挨拶になると思い、お礼を兼ねて伺ってきましました。
ひつじ書房さんは、1975年から神戸の岡本で開業されから、沢山の人達に児童書の大切さや楽しさを伝えてきたお店です。
しかし、オーナーの平松さんがご高齢という事やご事情もあり、お店を閉店する事になったそうです。
※詳細については、岡本商店街のホームページでご紹介されています。
http://www.kobe-okamoto.or.jp/index/detail/136/
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JR摂津本山駅のホームから見るひつじ書房
「ここ数日、閉店を惜しむお客さん達で行列が出来ている」と聞いていましたが、営業最終日も長い列が出来ていました。
平松さんとお客さんとのお話を聞いていると、たくさんの人がどれだけこのお店を愛していたかを感じずにはいられませんでした。
私は出版社の営業だった時代(25年程前?)からお世話になりました。
当時、仕事で全国の本屋さんをまわっていたのですが、この
ひつじ書房さんは、私にとって、「特別なお店」でした。
阪神大震災の前の年(1994年)の12月末、私の勤めていた出版社は社長急死の為に解散してしまいました。
会社の残務整理などで忙しくしていた年明け、1月17日には阪神大震災が起こったのですが、神戸近辺の知り合いになかなか電話が繋がらなかったのです。
その時、平松さんの安否が気になっていた私は、(当時、携帯電話の普及率は低い時代だったため)公衆電話からご自宅へ電話をかけました。
すると、運よく避難所からペットの犬に餌をあげに戻っていた平松さんとお話する事が出来たのです。(平松さんは、「避難所にはペットを連れていけないので、餌をあげに帰って来ていたのよ」と話してくれた記憶があります)
その時、私は、自分の事情(社長が亡くなり、会社も無くなった事)を話して「私もゼロからのスタートです」と伝え、平松さんへも「どうかがんばってください」とお話ししました。
その後何年か経って、(ひつじ書房さんを含め)好きなお店がたくさんあった事もあり、私は2000年に神奈川県から神戸に移り住み、同年、絵本店もオープンしました。
「形あるものは、いつかは無くなる」と言われます。
どんなお店であっても、いつか閉店の日を迎えなくていけない事はわかっていたつもりです。
しかし、「老舗の本屋さんが無くなってしまう」という事は、「街の一つの文化も無くなってしまう」という事ではないでしょうか。
素晴らしき先輩の存在に感謝しながらも、お店の閉店を惜しみます。
平松さん、長い間、神戸や関西圏の児童書業界にご貢献頂き、有難う御座いました。
そして平松さんの生き甲斐は、児童書に携わり続ける事ではないかと思っています。
これからも、出来る範囲で、児童書と関わっていただく事を願うばかりです。